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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第3章 重奏


それからまた明け方、基地内が騒がしくなる。隊長や副隊長たちが帰ってきたのだろう。恐らく、この女性の対応をするにはもう少し時間がかかる。報告書の作成やイレギュラーがあった場合の対応、することがたくさんあるはずだ。

そのままジッと立って待っていた。すると、扉が開いたのですぐに人物を確認して敬礼をする。亜白隊長と保科副隊長だ。

「任務、お疲れ様です!」

「おう…どうや?」

副隊長が欲しいという発言をしていたことを伝えると、亜白隊長は頭を抱え、保科副隊長は腰に手を当てて、同時に溜め息を吐いた。副隊長のモテ具合にはさすがに私も溜め息が出る。

その後、その女性は警察には連絡せず厳重注意という形になり、2人は女性を帰らせる。ストーカーをしていたのはあの女性ではなかったからだ。

「朝霧、ありがとうな。僕のせいやのに…」

「いえ、副隊長のせいではありません。お気になさらず」

亜白隊長もありがとうと言ってくださる。私はただ当たり前のことをしただけなのに…。

「将来有望やな!はよ僕のすぐ後ろまで追いついてき!隣はあかんで?副隊長の面目丸潰れなる」

「追い越します!」

生意気や!と髪をぐちゃぐちゃにされた。だがすぐにその手を離し、すまんと謝る。私があの日言った言葉をずっと覚えているようだ。このくらいなら大丈夫なのに…。

乱れた髪を直しながら、歩き出した2人の後を追う。どうやら2人も少し休むようで、私は自身の部屋へと戻った。
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