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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


手を繋いで外に出るといつもと変わらないのに、何故か空がどんよりしている気がした。いや、いつもより早いからかもしれない。

手を繋ぐのに未だに慣れない私は、ドキドキしながらも、不安に押し潰されそうになっていた。現実に引き戻されて、日比野さんのこと、ボロボロになった基地のことを考えていた。

基地に着くと宗四郎さんは人気のないところに来て、声を潜める。

「ずっと考えとったんやけど…僕らのこと知っとる奴がおった方が、澪ちゃんも気ぃ楽やない?」

偽装結婚のことだろうか?
私の同期数名、信頼出来る人にだけ話そうと言われた。後は小隊長たち。小隊長たちには宗四郎さんが話してくれるらしく、後で亜白隊長とちゃんと話そうと言われた。

私が日比野さんや基地のことで気を落としているから、そう言ってくれているのかもしれない。
どこまでも優しい人…。

「宗四郎さん、ありがとう…」

「ん?僕もその方が楽やし…これから大変なことばっかやろうから…なんも気にせんくてええところ、作ろや」

私が頷くとまた手を繋いで廊下を進み、途中で別れた。
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