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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


朝、目が覚めてご飯を作ろうと思ったが、腕から抜け出すことが出来ずに途方に暮れる。
そっと抜け出そうとしたら腕に力が入って引き寄せられてしまった。苦しい…。

というか、絶対起きてるよね?

「おはようのちゅーは?僕、待ってんねんけど」

先に歯を磨きたい…しかも朝からドキドキさせないで…。
黙って抵抗していると、ふーん?と聞こえてきた。

「今してくれへんのやったら、もうちゅーしてあげへん」

それは……

「やだっ!」

「ふっ、じゃあして」

ん…と頷きながら起き上がって、宗四郎さんの顔の横に手をつく。
これはもう…惚れた弱みとしか言い切れない。甘く強引な彼を愛してしまった、私の弱み。

顔は熱いし心臓もバクバクする。自分の体重を支えている手は震えている。意を決して、顔を近付けていった。

ふにっ…と触れた唇は弧を描き、隙間に舌が押し込まれる。寝起きはやだって言ってるのに…それなのに応えてしまう。

私が上になってるので、唾液が宗四郎さんの口内に零れていく。気持ち良さに耐えられず肘をつけば、胸が彼の肩で潰れた。怪我に乗っていないか心配になりながらも、身体に力は入らなかった。

「んっ…あ、んぅ…はぁ…」

「ふふ…蕩けてもうた。気持ちええね…もっと気持ちええことする?」

少し唇を離して彼の頬に自身の頬を乗せる。
もう終わり…と呟いて、肩で息をしていた。鼻や唇は触れたままで、お互いの熱い吐息が混ざる。
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