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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


私の寝室に来て、一緒に布団に入る。仰向けになる彼に背中を向けていると、寂しいな…と背中を指でなぞられた。

「ふふっ……感じとる。澪ちゃんは敏感やから、ほんまおもろいわぁ」

くるっと反転し、宗四郎さんの顔の横に手をつく。

「…そうやって、余裕でいられるのは今のうちだよ。慣れたらいっぱいお返しするんだから…」

「……無理やろ。澪ちゃんはずっと、僕に振り回され続けんねんで?」

一瞬目を見開いたが、すぐに余裕そうな笑みを浮かべた。
優しく胸を揉まれて、鼓動が早くなっていく。ずっとって…どのくらい?

ジッと宗四郎さんの目を見つめていると、宗四郎さんのスマホが鳴った。ちらっと見てしまった文字に胸を締め付けられていく。

身体を庇いながら体勢を変えてスマホを取る宗四郎さんは、私に向けて人差し指を口に当てた。静かしてろということだろう。なんで出るの?

「アヤ?どしたん?」

しかもなんでスピーカーにしてるの…宗四郎さんの顔の横に手をついたままジッと見つめる。

アヤが会いたいと言っている。聞きたくない。

「今日は無理や。こっちの状況知っとるやろ。」

お疲れ様と言って、癒してあげるよと猫なで声のような甘だるい声が、スマホから聞こえてきた。

「いや、ええわ。もう癒されとるし。奥さんに癒してもろてん、やからええ」

宗四郎さんが私を選んだ…その事実が嬉しくて、涙が出そうになる。
宗四郎さんは優しく微笑んで頬を撫でた。そして、その手はそのまま肌を滑りながら胸へと辿り着く。

また胸触るの?

優しく揉みながらアヤと話している。

もう切るでと宗四郎さんが言うとアヤは嫌がっていたが、宗四郎さんは無理やり通話を切った。

「すまん、寝よか」

寝る前に、この人の頭の中を私だけにしたい。そんな欲に駆られて、ふにっと唇を押し付けた。
宗四郎さんはそれに応えて、舌を絡めながら頭を撫でてくれる。

唇が離れて少し見つめ合ってから、宗四郎さんの隣に横になった。

「澪ちゃん、おやすみ」

「おやすみなさい」

高鳴る胸を押さえて、目を瞑る。
だが、眠れそうにもなかった。
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