第2章 再会
あれから…両親が殉職してから数年、私は訓練校に通いながら、両親が所属していた第3部隊、立川基地でお世話になっている。訓練校の訓練は厳しいけれども、両親を知っている人がいる立川基地には、たくさんの両親の面影がある。
両親と同じ道に進む、それは幾ら月日が流れようとも変わらない思いだった。
ある日、剣道の合流試合の打ち合わせで来ていた第6部隊の人が訪問中に怪獣が出現した。
その人物も一緒に討伐へ出動したようだ。私はまだ現場に出れない為、オペレーションルームで討伐の様子を大画面のモニター越しに食い入るように見る。オペレーターや通信機越しに会話をする隊員たちの慌ただしい声が遠くで聞こえていた。
子供が怪獣に飲み込まれ、それを助けようとした保科家の人も飲み込まれた。
そう、第6部隊の人は葬儀で私に涙の意味を教えてくれた保科家のオカッパ。開いているのかすらわからない細目の、少年だった頃の幼さを残す青年。
大丈夫だろうか…とモニターを見つめていると、怪獣の腹を裂き現れたのは、子供を抱えた保科さん。あの時の少年はあんなにも勇ましい姿になっていたのかと、胸の奥が熱くなる。
よかった…と安堵の溜め息を零し、亜白隊長が怪獣を射抜くのを見届けた。
「保科さん、すごい…!刀、かっこいいです!刀とか銃とか関係ない!防衛隊は市民を守る為のもの。保科さんは…えっと、その…強いです!すごいです!」
思わず通信機越しに声をかけてしまう。伝えたい思いは上手く言葉に出来ず、感嘆と声を漏らすのみ。
「誰や……おおきに…」
さすがに声だけでは誰かわからないようだ。ぽつりと呟く彼は耳を少し赤く染めていた。それなのに目を開き、どこか真っ直ぐ前を見つめているその赤紫の瞳は何かに燃えているように熱かった。口角を上げるその表情にも少し惹かれてしまう自分がいる。
私の"今"を象る言葉を残した少年は、市民を守る最高にかっこいい戦士になっていた。