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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


巨大化やと!?核の位置がズレたことで破壊し切れんかったか!?

膨れ上がった怪獣から吐かれる高温の蒸気から逃げるように、様子を見る為に距離を取った。

「放熱と共にフォルティチュード上昇…!これは……フォルティチュード…9.0!!」

小此木ちゃんの声が耳に響き、蒸気が晴れていく中で見えたのは――先程の何十倍もの大きさになった真っ赤な怪獣だった。

数段威力が上がった拳を躱し、腕を駆け上がって3式を斬り込む。
廃墟の壁を蹴って腿の裏を斬り、胸を斬る。

飛んできた拳を走りながら躱して壁を蹴る。
顔に斬りかかると、裂け目に刀を噛まれ飛ばされるが、すぐに地を蹴って駆け出した。

足に何度も刃を通す。
刃ぁが通り切らん。これやから大型は…!

動き出した怪獣からすぐに距離を取った。
速さで押して背後の核へと一点突破。これしかあらへん。

「っ!…はっ…」

身体が脈打ち、膝をついた。

『駆動限界を超えています。直ちに全開放を解除してください』

オーバーヒート…!?
目の前に浮かび上がった映像を見た。そろそろスーツが限界を迎える。

「全開放してから10分以上が経過しています!これ以上は危険です!」

小此木ちゃん…僕は守るもんがある。

飛んできた余獣を躱しながら地面を転がった。

「せいぜい、後1分てとこか…」

余獣が目の前に迫ってきたので、すぐに駆け出して躱す。背後で爆発し、吹き飛ばされた。

「自爆!?」

地面に這いつくばっていた身体をすぐに起こし駆け出す。
血ぃも涙もない、怪獣らしい攻撃や。まるで生きたミサイルやな。

余獣の自爆で煙だらけになった演習場を駆け回る。いい煙幕になっている。
建物の中に入って階段を駆け上がった。

あの子も頑張っとる。僕もやらんと…。

壊れた窓から飛び出し、刀を構えた。

「6式!……っ!」

背中に幾つもの青い目が現れ、気を散らした僕に自身の身体よりも大きい拳が飛んできた。

何棟ものビルの壁を背中で打ち破り、僕の身体は吹き飛ばされていった。
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