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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


四ノ宮は機能しそうやな…あの子も活躍しとるようや。

「問題は――」

怪獣の拳が振り落とされる。それを避けながら後方――演習場へと引き込んでいく。

問題はこいつや。

車両やコンテナが潰されて殴り飛ばされていく。

あかん、傷つけてもうた。
頬が切れて、少し熱を持った。

小此木ちゃんの声が通信機から聞こえてきた。

「つ、強い…」

だけやない。こいつは――戦いを楽しんどる。

見えない刃のような攻撃が飛んできた。

「小此木ちゃん、3番ゲート解放!」

戦いを楽しんどるなんて…明らかに怪獣の範疇を超えた感情や。

ゲートを通って演習場の中に入ると、ガシャンッと音がして目を向けると…せっかく開けた扉を怪獣が潰して掴まっていた。

瓦礫が落ちてきてすぐに避ける。巻き起こった土煙で噎せた。

「開けた意味ないやんけ。高いねんぞ、その扉!」

扉から気配から消えそちらを向くと、怪獣の姿はなかった。
どこに…そして、背後から声が聞こえた。

「こんなに俺と殴り合える奴、怪獣にもそういねぇ。是非とも食って糧にしたいねぇ」

物凄い勢いで飛んできた拳を刀で防ぎ、甲殻の隙間を斬り裂きながら飛ばされる。

ここで……僕にはあの子がおる。あの子が待っとる。やから…負けるわけにはいかん。
ちゃう…この基地を守るんや。
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