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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


それにしても、なんで怪獣はこの基地をピンポイントで攻撃してきたのだろう。
まさか…怪獣たちの狙いは――この基地…?

外に出ると宗四郎さんは狙撃が得意な隊員を集めて、翼竜系の余獣を撃ち落とせと指示する。
生憎、私は狙撃はそこまで…基本銃を抱えて宗四郎さんの後を追った。

宗四郎さんは日比野さんの通信機で話しているようだ。

視界の端に気配を感じてすぐにそちらを向き銃を構えた。
3体の影が煙の中に浮かび上がる。

「プライドの高い翼竜系を束ねてしまう程の力と、目的を持ってる行動する、知性を有する超強力なリーダーがおる」

私たちの目の前に現れたのは、真っ赤な甲殻に覆われた人型怪獣だった。

宗四郎さんは日比野さんとの通信を終わらせ、目の前の怪獣と向き合った。

「この基地で一番強いのはお前か?」

っ!人語を操ってる。本当に、最近の怪獣はどうなってるの。

「隊長おらんし、まあ――僕やな」

小型なら宗四郎さんでもなんとか出来るはず。
好戦的な笑みを浮かべる宗四郎さんを横目で見ながら、怪獣の動きは見落とさない。

だが、どんなに取り繕っても、銃を構える手は震えていた。
またあんな痛い思いをするのだろうか。仲間がやられるところを見なければいけないのだろうか。
もしそれが宗四郎さんだったら……耐えられるはずもない。

「そうか。なら決まった。お前が俺の獲物だ」

本獣は宗四郎さんに狙いを定めたようだ。

「本獣推定フォルティチュード出ました――8.3…クラス、大怪獣です!」

小此木さんの声が耳に響く。
本獣クラスの余獣で6.0超えばかりだった。想定はしていた。だが、これはあまりにも…。

宗四郎さんでも立ち回れるかどうか……いや、信じる。ずっと努力してきた彼をずっと見続けたきたのは私だ。私が信じなくてどうする。
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