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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


執務室に戻ってきて、怪獣8号の資料を見ながら何か考えている様子の宗四郎さんを見つめる。

「怪獣8号……私、8号がいなかったら死んでたかも」

「なんや人間みたいな違和感あんねんな…しかも、人間に化ける9号……怪獣に何が起きとる?」

繋がれたままの手はそのまま引き寄せられて、膝の上に座らせられる。
宗四郎さん…誰もいないよ?演技する必要ないんだよ?

鳴り止まない早鐘にもう一つ、似たような音が背中から伝わってきた。期待してもいい?

そんな甘い時間を過ごしている時に基地が揺れ、ドンッドンッと大きな音が響いた。
驚いて2人で立ち上がり、宗四郎さんは私の腰を抱えたまま耳に手を当てる。

「オペレーションルーム!何事や!?」

基地敷地内に数十体の怪獣、上空からの襲撃。
とんでもないことになっているのだろう。亜白隊長は不在。
しかも各個体が全て、本獣クラスだと言う。

一気に空気が変わり、すぐに臨戦態勢に入る。スーツを着て戦場へ向かう彼の後をついていった。

「亜白隊長不在の為、僕が指示を出させてもらう。夜間警備隊は総員、戦闘態勢に以降。非番の隊員にも緊急出動をかけろ。各自、戦闘準備にかかれ。可能な限り演習場に引き込め!絶対に基地の外に出すな!!」

彼の指示が小此木さんに伝わり、彼女はすぐにそれをみんなに伝える。

ヒリヒリとした空気が基地全体を覆った。

「朝霧、僕はこの基地を守る。君のことは守れへん。一体でも多く怪獣を倒せ!」

「了!」

確かな足取りで、怪獣が暴れる外へと床を踏み締めた。
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