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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


「宗四郎さん…かっこよかった」

トレーニングルームから出ていく宗四郎さんの肩に隊服を掛けながら、声をかけた。

「そりゃあ君の目にフィルターかかっ……なんでそんな可愛ええ顔しとるん?」

よくわからずに首を傾げた。どんな顔をしてたんだろうか…。

「僕のこと、めっちゃ好き…て顔しとる」

一気に顔に熱が集まり、慌てて俯いた。だがすでに遅かった。めっちゃ真っ赤なった!とケラケラ笑い始める彼を、気付かれないように睨んだ。

なんでこの人は、こんな揶揄うの…。

肩に掛かったままの隊服を奪い取って、インナー姿の装備が薄い彼の背中にビンタした。

「いっ…たあっ!酷ない?僕、本当のこと言っただけやのに…」

「宗四郎さんだって!そうやって揶揄うのは、照れ隠しじゃないのっ!?」

ちゃうわ!と焦り出す彼にニヤケが止まらなくなる。照れてたんだ…。

ギャーギャー騒いでいたが、宗四郎さんがふっ…と優しい顔になり微笑む。またそんなギャップにドキッとさせられた。

本当…自分に溺れさせるの得意ですよね。

絶対また顔が赤くなってると思い、宗四郎さんの隊服を頭から被って隠した。余計、宗四郎さんの匂いに包まれてドキドキしてくる。でもなんだか、幸せだった。

「それ、僕のやで?」

わかってますけども…。

隊服の上から頭を撫でて、顔を覗き込んでくる。
近いよ…。

そのままもっと近付いてきて、私たちは基地内の廊下で、隊服に隠れてキスをした。
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