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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


なんとか意地悪から逃げ出してトレーニングルームに来ると、隊服を持たせられて、宗四郎さんは模擬刀を振り始めた。

この動き…8号と戦闘した時と同じだ。
こうやって見ると、すごくしなやかで美しくて…踊ってるみたい。
思わず見惚れてしまっていた。

途中で入り口から日比野さんが見ていることに気付く。
日比野さんは宗四郎さんが最後の核を斬り裂く動きを見せると、尻餅をついていた。宗四郎さんはそれで日比野さんの存在に気付く。

「なんや、カフカか。お前またこんな遅ぅまでやっとったな?」

「っ、はは…副隊長こそ、こんな遅くまでなにやってんすか?」

日比野さんは本当にすごいな…毎日のように遅くまで勉強をしている。自分に出来ることを全力でやっている。
私は…何か出来ているのだろうか。

「あぁ…8号対策や。次遭遇したら、一発でぶった斬れるようにな」

悲鳴を上げて震え上がった日比野さん。
宗四郎さんはそのまま続けた。

「そもそも初手からしくったんや。ハナから全力でいっとけば、首飛ばせたっちゅーのに……それから、5式やのうて6式使ってたら、核ごと八つ裂きに出来たわ」

日比野さんは先程より大袈裟な反応を見せて、ぎゃはーっ!と悲鳴を上げている。
思わず吹き出してしまった。なんであんな怯えてるの?

宗四郎さんはビビりすぎやろとツッコミを入れていた。

「あれは普通の隊員の手ぇには負えん。恐らく9号も近しい力を持ってる。せやから――僕がやらなあかん」

胸が高鳴った。この人はみんなを守ろうとしている。市民だけじゃなく、隊員たちのことも。
やっぱり、この人を好きになったのは間違いじゃない。そう思わされた。

日比野さんが戦力になれるよう頑張りますと敬礼をすると、宗四郎さんは一瞬微笑んで、後ろから首を締め上げた。

「調子に乗るなボケェ!1%のやつが戦力になるなんて思てへんわぁ!!」

あの腕で締め上げたら死んじゃうよ…這いつくばって逃げようとする日比野さんを憐れむ。

「けどまぁ…1%くらいは期待しといたる」

なにそれ!私も言われたい!日比野さんずるい!

宗四郎さんは日比野さんにもう寝ろよと声をかけた。
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