第11章 宵闇 〜慰闇〜
「帰るで……やっぱ歩けへんか。おいで」
副隊長に身体を預けていると背中を向けて屈む。その背中に抱きつくと、太腿を持たれて背負われた。
ふふ…と笑いながら顔を彼の髪に擦り付ける。副隊長の匂いがした。
「擽ったいからやめてや。力抜けるわ」
「ひゃっ!」
副隊長はわざと手の力を抜いて私を落とそうとする。慌ててしがみつく腕に力を入れるが、本当に落とす気はなく、揶揄っただけのようだ。
副隊長の背中で揺られながらお店の外に出て、タクシーに押し込められた。
窓の外の流れる景色を眺める。
基地に戻るのかな、やだな…まだ一緒にいたいよ。