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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第11章 宵闇 〜慰闇〜


部屋に帰ってくると、私たちが戻ってくるのを待っていたのか、副隊長はみんなの前に立って、日比野さんの正隊員昇格の話を始める。

「防衛隊 第3部隊へようこそ」

副隊長の言葉から一拍置いて、喜びの声が上がる。
みんなが日比野さんを胴上げしているのを横目に、席に戻ってきた副隊長の肩に寄り添う。

一緒にいたいな…どうしたらずっと一緒にいてくれるんだろう。この距離も、2人になったら離れてしまう。
だから、今は出来るだけくっついていたい。

肩に置かれた腕に擦り寄った。

「ほんま、酔ったらめっちゃ可愛ええな」

「……酔ってる時だけですか」

不貞腐れたように呟き、唇を尖らせた。すぐにちゃうよと尖らせた唇を摘まれる。

大好き。そう言えたらいいのに…。

ドキドキと早まる心音は、こんなに密着していれば伝わっているだろう。それでも彼は知らないフリをする。寂しい…。

でも、途中で気付いた。私の心音だけじゃない。重なる心音に耳を傾け、少しずつ肩から下りていく。副隊長の胸からも同じ音がしていた。
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