第11章 宵闇 〜慰闇〜
周りの騒がしい声や音は、副隊長の雰囲気に飲み込まれて、ほとんど聞こえていなかった。
私の肩に腕を置いていて、重い…。
肩が凝ったらどうしよう…と思い、手を持ち上げて自分の頭の上に置いた。こちらを向いた彼に撫でろと目で訴える。
思ったよりも激しめに撫でられて、首がぐわんぐわん動き、髪はボサボサになった。
気付けば、市川くんは少しずつ、私たちから距離を取っていた。
ビールジョッキを手に取り喉に流し込むと、だらだら顎からビールが垂れていく。
「あーあ、何してんねんもう……あ!ちょ…そろそろやめときや」
副隊長がすぐにおしぼりで顎や服を拭いてくれた。だが、テーブルにジョッキを置こうとしたらテーブルがなくて、そのまま落としそうにってしまった。副隊長がジョッキを押さえてくれる。
「世話してくれるって言ったあ…」
「それは覚えとるんかい」
トイレ行きたいと呟けば、小此木さんに託される。小此木さんの肩を借りてトイレを済ませた。