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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第3章 重奏


「そ、そうなんですね…??」

「おん、せやで」

なるほど…と答えてわかっているフリをした。

開いた口が塞がらず、保科さんを見つめていると、はよ食いやと自身のフォークで私のモンブランを掬い、私の口元へ翳す。そのまま半開きの口に押し込まれた。

「…んっ、クリームっ…!」

口の周りにベッタリとついたクリームを手で隠しながら舐め取る。なんだか、その場面を見られるのは恥ずかしかった。

というか…保科さんが口をつけたフォークじゃないですか!

保科さんはそのまま私の口に入ったフォークで食べ進める。この人…なんでこんな意識させることを無意識でやるの…。
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