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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第10章 宵闇 〜初闇〜


地区Fに余獣が侵入した。
先輩のアシストで余獣を撃破する伊春くん。アシストなしで撃破する市川くん。
確か、伊春くんの方が解放戦力が高かったはず…市川くんの成長は、入隊してから一番早かった。

私も…アシストはしてもらわず、一人で余獣に向かっていった。基本銃で打っても倒し切ることは出来ない。

接近し過ぎたので基本銃から手を離した。拳銃を左手で持ち、右手にナイフを持つ。拳銃で足を撃ち、一気にナイフを突き刺す。その瞬間、戦力を全開放した。余獣の身体にバスケットボール程の穴が空いていた。

「朝霧、お前もアシストなしでやったのか…?」

「え、うん?」

伊春くんなら、充分一人で戦えると思う。でも私たちは競っているわけじゃない。大事なのは連携や仲間が危なくなった時の援護。

斑鳩小隊長の声で保科副隊長と聞こえ、心臓が大きく跳ねた。名前を聞くだけ愛しい。

どうやら私のことを話しているらしく、何かしてしまっただろうかと不安になった。斑鳩小隊長の声は大きすぎてよく聞こえる。

その後すぐに副隊長は私に話しかけてきた。通信機から直接、脳へといつもより低い彼の声が響く。

「接近戦の方が戦い易いか?」

「はい」

「そうか…気を付けろよ」

了と返すと通信は途切れた。それだけのやり取り。それだけで、私は幾らでも怪獣を倒せると思った。

その後も余獣を拳銃とナイフで倒し続けた。解放戦力がどんどん上がっていく。今までは並の成長速度だったのに、信じられないくらいに上がっていった。
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