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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第10章 宵闇 〜初闇〜


車両に乗り込み現場に向かっていると、近付くにつれ、鼓動が早くなっていく。初めての怪獣討伐。両親の命を奪った怪獣。ここで力を示さなければ…。

車に揺られながら、震える手を見つめていた。

「覚悟はええか?怪獣退治の時間や」

同期のみんなと副隊長を中心に座っている。
彼の言葉を聞いて、手をぎゅっと握り締めた。怪獣への恐怖はある。それでも私は防衛隊員になった。

大丈夫…厳しい訓練なら、乗り越えてきた。
体調は万全ではない。でも、怪獣は待ってくれない。

大丈夫、だと自身に言い聞かせていると、嗚咽が聞こえてきた。その正体は日比野さんだった。きこるんの悲鳴が響き渡る。きこるんは日比野さんの目の前に座っていた。

どうやら日比野さんは、緊張で食べ過ぎたらしい。
是非私も、緊張で食べ過ぎてみたい…。

「普通は食えへんようなんねん!」

副隊長の正論が響き渡った。

私たちが乗っている車両は騒がしくて、緊張はどこかへ行ってしまった。
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