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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第9章 仮契 〜忍契〜


「あかん…そういう気分なってもうた」

少し顔を赤くして目を逸らした副隊長は、未だに耳を撫でている。

だがその指は髪の隙間に入り込み、梳きながら後頭部へと周り、そっと近付けられていく。額が合わさると、熱を宿す瞳と視線が交わった。

「嫌やったら殴って」

そんなこと出来るわけないと言おうとしたら、唇が塞がれて舌が絡む。ただ私は彼に身を委ねて、気持ち良さと求められる喜びに浸っていた。

「ん…っ…あ……宗四郎さん、もっとして…」

唇が離れていく寂しさに私は本能のまま副隊長を求めていた。そっと副隊長の指が唇に触れる。

「もっとしたら…この可愛ええ口にまたおっきいの突っ込んでまうかも…」

「……ん、いいよ」

一瞬なんのことかと思ったが、この前お風呂でした行為を思い出した。微笑んで肯定すれば、副隊長は目を見開く。でもすぐに細められた。

「ここも…触ってまうかも」

そっと下腹部に手を置き、少し下がる。私はそれにも肯定した。求めてくれるならなんでもいい。頭の中は副隊長に支配されていて、正常な判断なんて出来ていなかった。

「なんや今なら、セックスさせてくれそうやな」

うんと頷くと、後悔するでと優しく諭された。あんなに私としようとしてたくせに…そう思っても、やっぱり副隊長は優しいのだなと、安心した。

胸の高鳴りは、距離が近い彼に聞こえているのかもしれない。
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