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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第8章 仮契 〜試契〜


少ししてからお風呂から上がりリビングへ行くと、ソファに座っていた副隊長が立ち上がる。

「おやすみ…どうする?」

何が?と言うように首を傾げた。

「一緒に寝るんか?」

「あー…いえ、一人で寝ます」

そうかと彼はまた無意識に頭を撫でた。肩を震わせる私に少し傷付いた顔をしながら謝って、寝室へと消える。

どうしてあなたがそんな顔をするのですか?他の人のところへ行ったくせに。

私が自分で煽って拒んだのに、彼を責める言葉しか浮かんで来ず、そんな自分に嫌気が差した。
全て…私が保科宗四郎という一人の人を愛してしまったのがいけない。

寝室に来て、布団の中で声を押し殺して込み上げてくる涙を零した。その涙は温かいはずなのに、何故か冷たい気がした。

私が零す涙はいつも冷たいな…。
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