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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第3章 重奏


あれから1年近くの時が経ち、訓練校に第3部隊の隊員が来て、一緒に訓練をし個別に指導したり、話を聞ける行事が催された。その中に保科さんもいるのだ。

たくさんの女の子たちに囲まれた保科さんを睨む。あの甘いマスクに訓練校生の女の子たちは釘付けだ。

「ははっ、みんなほんま可愛ええなぁ!男としては嬉しい限りや」

なに、あの笑顔…八重歯を見せて可愛らしい笑顔を見せる保科さんは、毎日顔を合わせているのに遠く感じた。

ぎゅう…っと胸を締め付けられて、モヤモヤと黒い感情が私を支配していく。だって…女の子たちとの距離が近い。保科さんの腕に胸を押し付けて絡まる子までいる。きっと、4年か5年の先輩だろう。保科さんとそんなに歳が変わらない女の子。

私は、保科さんにとっては子供…想いを伝える気もない癖に、一丁前に嫉妬心を露わにする。

腕はここやでと女の子に触れながら指導する彼を見て、見たくないとぎゅっと目を瞑った。見なければいいのに、目が勝手に保科さんを追ってしまうのだ。
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