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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第7章 仮契 〜甘契〜


「すまん…嫌やった?」

息を整えた副隊長は私の後ろに腰を沈め、お湯に浸かる。後ろから抱き締められて、未だに微かに漏れる息と共に耳元で囁く。

心臓も頭もおかしくなりそうだった。膝を抱き締める手は震えている。息をする度に彼の匂いが残った口から、全て支配されていく感覚に陥る。

耳に彼の熱い息が当たる度、彼の手が私の肌を滑る度、ピクピクと震えながら僅かに声を漏らす。副隊長のせいで身体がおかしくなっていた。

微かに首を振って答えると、背後から回った手に顎を持たれて振り向かせられると、気付けば唇が重なり赤紫と視線が交わった。

その瞳に見られる感覚に耐えられずぎゅっと目を瞑ると、激しく舌が絡まり鼻にかかる甘い声が止まらない。

「あかん、やばい…可愛ええ。抱かせて…」

唇が離れると顎から手を離し、肩に顎を乗せられて、体重までも掛けられる。

「……飲んでくれるとは思わんかった。口に出してごめんな?嫌やったやろ」

またふるふると首を振ると、脇腹を撫でた指が下腹部へと向かっていく。慌ててその手を掴むとお腹に回り、そこから動くことはなかった。

背中から伝わってくる彼の熱に溺れてしまいそう…。
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