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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第7章 仮契 〜甘契〜


ラザニアが出来上がり、テーブルに運んで取り分ける。食べる彼をジッと見つめた。

「んま…やっぱ君の料理はええなぁ。ええ嫁さんなれるで……今は僕のやけどなぁ!」

少し沈んだ心が、"僕の"という言葉に一気に突き上げられる。
浮気は許さんで〜と揶揄うように言う彼を見て、しようとしたのは誰だと笑う。

副隊長の皿が空になったので、取り分けて皿を渡すと少しだけ指が触れた。

「寒いん?温度上げよか?」

大丈夫ですと首を振る。冷房がついているわけじゃない。上着を着ればなんとかなるだろう。

待っとってなと立ち上がった彼は、ソファから膝掛けを持ってきて肩に掛けてくれる。お礼を言いながら膝掛けに指を掛けると、絡め取られた。

「冷たなっとる。ちょっと温めたる」

後ろから両手を取られて握られ、親指で摩られる。温かい…副隊長は全部温かい。そして、副隊長に触れられると、すぐに私の体温は上がっていく。

「男と女の子やと感じ方ちゃうから、暑かったり寒かったりしたら、すぐ言うてな」

先程まで揶揄っていたとは思えない優しさで私を包み込んでくれる。心までも温かくなっていった。
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