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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第7章 仮契 〜甘契〜


カフェから出る時に紙袋を1個奪って、ショッピングモールを後にした。
副隊長の背中を追いかけていると、街路樹の緑から木漏れ日が差し込む。

「なにしとんの?ん…繋ぐ為に僕の手ぇ空けたんやろ?」

振り向いて手を差し出した彼に木漏れ日が降り注ぎ、とても美しく見えた。風が彼の黒髪を撫でている。

差し出された手にそっと重ねると、優しく握ってまた歩き出す。強く握られるでもなく、ただ温度を伝えてくれる。

ほんの少し早くなる鼓動は、ゆったりとした散歩の時間の流れを表しているかのよう。背中を追いかけていた私は、繋がれた手に引き寄せられるように寄り添った。

「宗四郎さん」

「なぁに?澪ちゃん」

ただ名前を呼び合っただけ、それだけで心が満たされていく。揶揄ったり甘さや危険な香りはしない、この場の雰囲気に合わせた副隊長の隣を歩くのは、とても気持ちが良かった。
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