第100章 期待〜時透無一郎 冨岡義勇【R強強】
その頃、無一郎の屋敷では…
今日二人が街の甘味処で過ごした時間は、まるで嘘のように穏やかだった。
けれど、夜の帳が下りたゆきの部屋には、昼間の賑やかさとは裏腹な、濃密な空気が漂っていた。
「本当に美味しかったね、無一郎くん。お団子も、蜜も、あんなに甘いなんて…」
緊張を隠すように、ゆきは引き攣りそうな笑顔のまま、昼間の出来事を早口で語る。
無一郎を安心させたい、そして自分の中の罪悪感を誤魔化したい一心だった。
しかし、無一郎はそんな彼女の言葉を静かに聞き流しながら、じっとその唇を見つめていた。
「ねえ、ゆき…まだそんな話をするの?」
無一郎の顔が、不意に視界を塞ぐ。
驚いて息を呑んだゆきの唇に、冷たい指先がそっと触れた。
「僕には、お団子よりもずっと…君の唇の方が甘そうに見えるよ」
囁かれた言葉の熱さに、心臓が跳ね上がる。
無一郎の瞳はいつもの無垢な輝きではなく妖艶に見えた。
逃げる隙を与える間もなく、重なるだけの柔らかな唇がゆきの呼吸を奪う。
本当に蜜を味わうように、ゆっくりと、 輪郭をなぞるような焦らすような口づけ。
「あっ…ま、待って、むい…くん…」
「嫌だ、待てない。…だって、せっかく昔みたいに昼間は仲良く過ごせたのに…」
無一郎は衣服の紐に手をかけ、わざと時間をかけるように、一枚ずつ、ゆっくりとゆきの肌を露わにしていく。
滑り落ちる衣…露わになる肌…夜風が肌を撫でる…けれど、すぐに彼の体温がそこを支配した。
無一郎に触れられるたびに、昼間、義勇の石積みに触れてしまった指先がズキリと痛むような錯覚に陥る。
「僕だけを見て。僕のものになって、ゆき…」
「む、無一郎くん…今夜はお話して過ごしたい。」
無一郎の手が、ピタリと止まる。
「僕は、話すより…君を食べたい。」
真剣な目で、ゆきを捉えて離さない。
「ごめん…食べさせて…我慢できない」
無一郎は、ゆきに覆いかぶさり抵抗できないように組み敷いた。