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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第100章 期待〜時透無一郎 冨岡義勇【R強強】


その日の晩、義勇はいつも通り、川辺の木の下に現れた。

昼間の喧騒を忘れたように静まり返る夜。

いつものように太い木の幹に背をもたれ掛け、小さく一息をつく…。

遠くに見える街の灯をぼんやりと眺めながら、しばらく冷たい夜風に身を委ねていた。

視線は、待ち続けている彼女へと続くはずの暗い一本道に向けられるが、そこにはただ寂しげな風が吹き抜けるだけ…。

「…ゆき」

届くはずのない名前が、夜露に溶けて消える…。

義勇は諦めたように視線を落とし、いつものように足元の小石を一つ拾い上げた。

逢えない夜の数だけ重ねてきた、石の塔。

そこに新たな石を積み上げようとした…その時だった。

義勇の指先が、ピタリと止まる。

「これは…」

塔のてっぺんに、見覚えのない小さな石が一つ、不器用に載せられていた。

自分が積んだものとは違う。まるで、誰かがそっと置いたかのような石…。

ドクン、と胸の奥が激しく脈打った。

もしかして…ゆきが、来たのか…?

胸の奥底から、信じられないほどの淡い期待がせり上がってくる。

いや、ただの子供の悪戯だろう…。

それとも、俺の勘違いか?

否定しようとすればするほど、愛おしい彼女の面影が頭を支配していく…。

もし、これがゆきの残した痕跡なら。

自分を拒絶し、別の誰かを選んだはずの彼女が、ここへ来て、この切実な想いに触れてくれたのだとしたら。

「ゆき…本当に、来てくれたのか…? 今日、ここに…」

こみ上げる愛おしさと切なさに、義勇は居ても立ってもいられなった。

積まれた石にそっと触れる義勇の指先は、震えていた。

「俺を、想ってではなく何か辛いことがあったのか?それで俺の手紙を、思い出しここに来たのか?」

義勇の頭の中は、もうゆきでいっぱいになっていた…。

ゆき…心配だ…

逢いたい…

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