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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第99章 逢いたくなったら〜冨岡義勇 時透無一郎 【R強】


その晩静かな足音が部屋の前で止まり、襖がゆっくり開いた。

立っていたのは無一郎だった。

「ぷりん?だったかな。美味しかったよ」

どこか上の空な声…私は胸の奥がズキンと痛むのを感じながら、精一杯の声で返した。

「よかった」

それきり、言葉が途切れ息が詰まるほどに気まずい空気が流れる…

無一郎くんは、私のいつもと違う様子に気づいたのか、見透かすような瞳でじっと見つめてきた。

「夕食を部屋で取ったんだってね。…何で?」

「あ…うん…別に、ちょっと体調悪くて」



本当は、二人の間に入るのが苦痛になっているから…

「僕にはわかるよ。美月でしょ? 美月がいるから来なかったんでしょう」

「違うよ…!」

思わず声を荒らげてしまった…

美月さんがいるからだけじゃない。

無一郎くんが、私といる時よりも楽しそうに彼女と話すから…私のことなんて忘れたみたいに、彼女ばかりを見つめているから…。

そんな惨めで嫉妬深い本音、無一郎くんが聞けば私に幻滅するかもしれない…

「美月と君は色々あったけど、彼女は今では心を入れ替えてる。いつまでもねちねちと毛嫌いするなんて、君らしくないよ」

―君らしくない。

冷たく放たれたその言葉が、私の心に深く突き刺さる。

じゃあ、私らしいって何…?

無一郎くんの隣にいるために、義勇さんの優しい手のひらも、継子としての誇りも、全てを捨ててここに来たのに。

今の私は、彼にとってただの心の狭い、邪魔な存在でしかないの?

視界が、一気に涙で滲んで歪む。

これ以上、無一郎くんの口から酷い言葉を聞きたくなくて、私は両手で彼の胸元を、突き放すように強く押した。

「もう…出て行って…!」

「ちょっと、何するの?」

「寝るから! お願いだから、部屋から出て行って…!」

涙をボロボロとこぼしながら自分を押し出そうとする私に、無一郎くんは心底呆れたような、表情を浮かべていた。

「いい加減にしないと、僕だって怒るからね。もう知らないよ?本当に」

感情の消えた声でそう言い捨てると、彼は勢いよく襖を閉めて去って行った。

ピシャリと閉まった襖の音が、暗い部屋に虚しく響く。

一人きりになった部屋で、私は崩れるように畳に伏せ、声を殺して泣き続けた。




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