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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第97章 忘れたい〜時透無一郎 不死川実弥【R強強】


不死川の屋敷に足を踏み入れると、出迎えの隠たちが、背負われたゆきの姿を見て驚いた。

しかし、不死川は周囲の動揺など意に介さず、ゆきを丁寧に座敷へと降ろすと、有無を言わせぬ口調で命じた。

「こいつがァ怪我をした。手当をする。必要な物を持ってこい」

運ばれてきた桶と包帯を手に、不死川はゆきの足首を掴んだ。

手際よく傷口を洗浄し、布を巻いていくその大きな手のひらが、かすかに震えていることにゆきは気づいた。

「よし、出来た」

短く吐き出された言葉に、ゆきは深く息を吐き出す。

「ありがとうございます、不死川さん。…今日一日、何もかも忘れれて本当に楽しかったです」

ゆきの言葉を聞き届けた不死川の動きが、ふと止まった。

彼は包帯の端を留めると、真っ直ぐにゆきの瞳を見つめ、あえて残酷な問いを投げかける。

「あえて聞くが。お前はこれでよかったのか?」

時透に促されるまま冨岡の継子を辞退し、鬼殺隊さえも去ったこと。

そして何年か後に、時透と婚姻を結ぶという未来。ゆきは、言葉を紡ぐことができなかった。

ただ、視線を落とすことしかできないゆきに、不死川は追い打ちをかけるように続けた。

「前にも言ったが、俺ァお前を好いている。…抱きたいと思ったことだって、何度もある」

その告白に、心臓が跳ね上がる。

不死川は傷ついたゆきの足から手を離し、乱暴に、ゆきの頬に触れた。

「…だからァ、好いた女のそんな悲しい顔を、二度と見たくねェんだ」

その瞳には、荒々しい普段の彼からは想像もつかないほど、切実で不器用な愛情が見えた。

「し、不死川さん?」

不死川は、なおもゆきとの距離を詰める…

「いっその事…何もかも全部捨てちまってェ俺のとこに来るかァ?」

不死川の言葉に息を呑む。
至近距離で見つめる彼の瞳は、本気で私を奪い去ろうとするほどに輝いていた。

「…な、んてなァ。嘘だ、馬鹿」

触れられていた頬から不意に手が離れる。不死川は笑うと、背を向け乱暴に頭を掻いた。

「これ以上泣きそうな顔すんじゃねェ。時透んとこへ帰れ。…幸せになんなきゃ、お前を奪いに行くからなァ」

ぶっきらぼうなその態度は、彼なりのあまりにも優しい愛の形だった。





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