第92章 快楽に溺れる日々〜時透無一郎【R強強】
立て続けに受けた快感に意識が遠のき、ゆきは無一郎の胸で深く息をついた。
強張っていた身体から力が抜け、湯船の縁に頭を預けて瞳を閉じる。
無一郎はそんなゆきの様子を愛おしそうに見つめながら、乱れた髪を丁寧に撫でた。
「もう動けないね。…いいよ、運んであげる」
無一郎は湯から上がると、ぐったりとしたゆきを抱き上げ、慣れた手つきで浴衣を纏わせた。
意識が戻らないほどに愛し尽くされたその身体を腕に抱き、廊下を歩く。静かな夜だった。
しかし、角を曲がった先から聞こえてきた話し声で、無一郎は足を止めた。
「おい、聞いたか? 隊士宿舎の騒動」
「ああ。胡蝶様が激昂して乗り込んでいった話だろ?」
「全くだ。水柱様とゆき様の噂、また随分と尾ひれがついていたみたいじゃないか」
遠くで聞こえる隊士たちの噂話。彼らは、ゆきが誰と結ばれるべきかという話題に花を咲かせていた。
「ま、これでその噂も消えるだろうさ。…やっぱり、ゆき様には無一郎様がお似合いだよ」
笑い合う声は、無一郎の耳にも届いた。しかし、無一郎は表情一つ変えることなく、ただ胸の中のゆきを強く抱きしめた。
無一郎には、疑問が残った…「胡蝶さんは、何を言って騒ぎを収めたんだろう?」
その時ゆきは無一郎の胸元で小さく震え、無言のまま彼の着物をぎゅっと握りしめた。
「…噂話なんか、気にしなくていいよ」
無一郎は誰に聞かせるでもなく、耳元で静かに囁いた。
「世界中が何を言おうと、君は僕のものだ。誰にも渡さない。」
そう言った後、部屋に向かいまた歩みを進めた。
角を曲がると先程噂話をしていた隠二人が、驚いた表情をした後頭を下げた。
無一郎は、何も言わずに通り過ぎ部屋に向かった。
部屋に戻るとぐったりしたゆきを寝床に横にし自分も布団に潜り込んだ。
「疲れて寝ちゃってる…可愛いな…」
無一郎は、胸にぎゅっとゆきを抱きながらこの幸せが、永遠に続くように願った。