第91章 噂を消した方法〜時透無一郎【R強強】
場所は、隊士宿舎―
かつて静まりかけたはずの悪質な噂が、再び猛烈な勢いで燃え広がっていた。
引き金となったのは、水柱の屋敷から戻った例の隠だった。
彼はどうしても胸のざわつきを抑えられず、他の隊士たちに、義勇とゆきの「怪しい関係」や「不可解な行動」を密かに、生々しく喋ってしまったのだ…。
「絶対に他言するなよ」という使い古された前置きなど、何のあてにもならなかった。
噂は尾ひれをつけて瞬く間に宿舎中へ広がっていく。
せっかく以前の騒ぎを必死におさめ、事態を落ち着かせていた三田は、頭を抱えていた。
「おい、いい加減にしろ! 根も葉もない噂を流すな!」
いくら声を大にして制止しようとしても、一度勢いづいた噂は止まらない…。
完全に収拾がつかなくなった状況に、三田は激しい憤りを感じていた。
だが、その騒ぎを敏感に聞きつけた人物が、もう一人…。
胡蝶しのぶだった
彼女は、隊士宿舎へと、すでに向かっていた。
しのぶの心中には、決意が秘められていた。
目的はただ一つ。この悪質な事態を、彼女が用意した「ある策」を以て、跡形もなく完全に鎮圧することだった…。
一方その頃、義勇は、これまでにない深い苦悩の淵に立たされていた…。
あの日、感情を抑えきれずにゆきに「好きだ」という本心を打ち明けた。
しかし、翌日になっても、ゆきは一向に自分の屋敷の稽古に姿を現さなかった。
「…なぜだ」
ゆきが自分の元に来てくれない事が、義勇の心を曇らせる…。
時透から、行くなと止められているのだろうか。
それとも…
俺に、会いたくないのか…?
拒絶されたのかもしれないという最悪の予感が胸を締め付ける。
不器用な義勇は、独り答えの出ない問いに頭を悩ませ続けていた。