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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第87章 口付け【R18】冨岡義勇


時は朝に戻るーー

朝食を終え、稽古に向うゆきの足取りは重かった。

「義勇さんに、どんな顔をして会えばいいの…?」

重い溜息をつきながら、ようやく辿り着いた…

意を決して門をくぐると、その瞬間、空気を震わせる鋭い衝撃音が響く。

ガアァァンッ!

硬い木刀同士が激しくぶつかり合う音。

中庭に足を踏み入れたゆきは、そこで繰り広げられている光景に、思わず息を呑んだ…。

荒々しい呼吸と共に、猛烈な剣筋を叩き込んでいるのは、不死川さんだった

「冨岡ァ! 動きが鈍いんじゃねぇかァ!」

「…問題ない」

二人の周囲には、凄まじい風圧と殺気が渦巻いている。

一瞬の隙も許されない、命を削るような手合わせ。

これが「柱」という存在の圧倒的な実力なのだと、ゆきはその迫力に動けなくなった。

だが、義勇が不意に乱れた。

ふとした瞬間に、義勇の視線が庭の隅に立つゆきを見つけたからだった。

その瞳に、一瞬だけ揺らぎが生じる。

「冨岡ァ、よそ見してんじゃねェッ!」

不死川の鋭い一撃が義勇の肩を掠める。

義勇はかろうじて身を翻して避けたものの、不死川は木刀を引くと、その視線の先にいる人物に気づいて鼻で笑った。

「なんだ、テメェか」

不死川は木刀を肩に担ぐと、ゆきの方へと歩み寄ってくる。

「久しぶりだなァ。元気にしてたかァ」

不死川は任務帰りにわざわざ、ゆきの様子を見に寄ってくれたのだった。

張り詰めていた空気が緩み、ゆきは縁側に腰を下ろして彼としばらく言葉を交わした。

「困ったことがありゃあ鴉を飛ばせって言っただろうがァ。ちっとも頼ってこねェから…」

冗談めかして笑う言葉に、ゆきは少しだけ強張っていた心が解けた。
だが、その和やかな光景を、少し離れた場所から義勇は見つめていた。

義勇は木刀を握り直したまま、親しげに笑い合う二人を、面白くない表情でじっと見ていた。

やがて、不死川が「お館様に報告がある」と屋敷を去っていった。


残されたのは、ゆきと義勇の二人だけ。
義勇はゆっくりと、ゆきの方へと近づいてくる。

「…稽古を始めるぞ」

昨夜の物置小屋の中の人とは思えないほど、冷たい声、態度だった…。

「はい」


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