第86章 無一郎と美月の秘密【R18】
そして夕食時
無一郎の継子である美月は、怪我をした右腕をかばい、食事に苦労している様子を見せつけていました。
その様子に見かねた無一郎が美月に声をかけた。
「怪我した腕痛いの?」
「は、はい…痛いです…」
甘える口調で答える美月の姿に、無一郎は一瞬、手を貸そうと箸を動かしかけた。
自分が、早く退却したせいで、美月に怪我をさせてしまったことに、強い後ろめたさを感じていたからだった。
しかし、その視線の先にいるゆきの存在が、無一郎の動きを止めた。
今ここで美月に優しくすれば、ゆきはどう思うだろうか…。
揺れる思いとは裏腹に、ゆきは一言も発さず、頑なに視線を落としたままだった。
結局、無一郎は差し出しかけた手を引っ込めた。
「…隠を呼ぶよ。君の世話は彼らに任せる」
「えっ?む、無一郎様がいいです…」
じっと美月は無一郎を見つめる…無一郎は視線を外し、ゆきに対し、探るような口調で問いかけた。
「ゆき、体の痛みはどう? …まだ、疼くの?」
昼間の出来事を思い出すような言葉に、ゆきは一瞬ドキッとした。
「…おかげさまで、だいぶ良くなりました。もう、大丈夫ですから」
最後まで目が合うことはなくどこか避けられているような態度に、無一郎の胸には美月への罪悪感とはまた別の、焦りが募る…。
昼間背中に口づけした事怒っているのかな?それか美月と僕の事を面白く思ってないのかな?
食事を終えると、ゆきは逃げ出すようにその場を後にした。
部屋に戻り、静まり返った廊下を確認すると、ゆきはポケットから義勇が届けてくれた鎮痛剤を取り出した。
それを、飲み目を閉じた…。
無一郎も、食事を終えゆきの元へ向おうとした時に美月に声をかけられた。
「無一郎様…今夜は任務もないのでお部屋でゆっくりお話しがしたいです。」
急な誘いに無一郎は、固まる…
「約束したではないですか?口づけした事ゆきさんに内緒にするかわりに、夜に部屋に来てくださるって…」
「…少し話すだけだからね…」
美月は嬉しそうに、微笑んだあと部屋を出て行った。