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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第85章 霞柱邸〜時透無一郎【R強】


静まり返った部屋で、ゆきは一人、ぼーっと座り込んでいた。

戻ってこない無一郎を待つ時間は、ゆきの心をじわじわと不安にさせていく。

先ほど目にした光景…不器用ながらも献身的に美月を抱きかかえていった無一郎の姿が、脳裏に焼き付いて離れない…。

「私なんかより、美月さんの方が……」

共に戦場を駆け、実力も、立場も、無一郎くんに相応しいのは自分ではない…。そんなの分かりきっていた…私は最終選別は受けていない…何もできない弱い鬼殺隊…無一郎くんに助けられたオマケの命なんだよ…私は…

その時、急に襖が開く音がした。

ゆきは反射的に布団に潜り込み、寝た振りを装った。

しかし、柱である無一郎の鋭い眼を欺くことはできなかった…。

「何? 起きていたの?」

無一郎の静かな声に、ゆきは観念してゆっくりと目を開いた。

目の前に立つ無一郎は、風呂上がりなのか髪を湿らせ、寝間着姿だった。

「あれ?お風呂…行ってたの?」

「そうだよ」

短く返された言葉に、ゆきの胸がチクリと痛む。 

美月さんを部屋へ連れて行った事は言わないんだ…

隠されたという事実に、無一郎との間に見えない壁ができたような気がした。

「あの…ゆき、寝る前に口づけだけしたい」

無一郎にせがまれ、ゆきは静かに目を閉じた。

重なる唇…

けれど、そのまま情熱に任せて押し倒された瞬間、まだ癒えぬ体に痛みが走った。

「いっ…た…」

「ごめん……つい……」

「ん…大丈夫…」

気まずい沈黙の中、無一郎はゆきを優しく腕の中に抱き寄せた。

「寝よっか」という無一郎の声は穏やかだが、結局、美月のことについては一言も触れなかった。

美月さんのこと…何も話してくれないんだね…部屋で何かあったんだね…きっと

「おやすみ、無一郎くん…」

「おやすみ…ゆき」

腕の中に大切そうに、つつみ込んでくる無一郎…けれどゆきは、色んな事が不安でもういっぱいいっぱいになっていた…。

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