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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第85章 霞柱邸〜時透無一郎【R強】


義勇が道場を去った後、ゆきは動揺を隠しきれずにいた。

叩かれた肩や背中が熱を持ち、ズキズキと脈打つ…。

何よりも、無一郎との情事を指摘された恥ずかしさと、義勇の怒りに触れた恐怖で、指先がどうしようもなく震えていた。

稽古を終え、重い足取りで屋敷を後にしたゆきを待っていたのは、身体中の痛みだった。

義勇の竹刀は、容赦なくゆきに打ち込まれていた。

隊服がスカートになったことで、剥き出しになった太ももには、痛々しい青痣が幾重にも浮かび上がっている。

一歩踏み出すごとに走る鋭い痛みに、ゆきは痛みを堪えた。

夕闇が迫る帰り道、よたよたと覚束ない足取りで歩いていると、頭上からカサカサと羽音が聞こえてきた…。

「カァーッ!……カカッ」

見上げると、そこには義勇の鎹鴉である寛三郎の姿があった。

年老いたそのクチバシには、何やら白い包みが挟まれている。

寛三郎はゆきの肩にふわりと降り立つと、それを差し出した。

「コレヲ使エ……。義勇ガ、渡シ忘レタト……」

それは、丁寧に包まれた湿布薬だった。

「済まない」とも「悪かった」とも言わぬ、不器用な義勇なりの謝罪だった。

厳しい言葉の裏に隠された、捨てきれない愛情…

「…ありがとうございます、寛三郎さん」

ゆきが礼を言うと、鴉は一言も発さず、ゆきに頬擦りした後、静かに空へと消えていった。

沢山湿布薬が入った白い包み…義勇の複雑な思いを裏付けるかのような重みだった。

ゆきはそれを胸元にぎゅっと抱きしめた…。

疼く痣の痛みさえ、今は義勇との繋がりを示すもののように感じられ、切なさが込み上げる…。

ようやく屋敷へと辿り着くと、門の前で隠がゆきを待っていた。 

「おかえりなさいませ。無一郎様は、予定通り任務へ向かわれました」

無一郎も継子の美月も居ない静かな屋敷

ゆきは、お風呂で今日の稽古の様子を思い返していた…。

「今日の義勇さん手加減なかったな…」

ズキズキと竹刀で打たれた場所が疼く。


ゆきはお風呂からあがり寛三郎が届けてくれた湿布を手に取った…

貼り終えた時にふと、今朝の無一郎の言葉を思い出す…

「そうだ…無一郎くんの部屋で帰りを待たないと…」










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