第14章 義勇の婚約者〜冨岡義勇 時透無一郎
いつの間にかゆきは眠っていた。無一郎がそろそろ警備があるので立とうとした時ゆきが自分の髪をぎゅっと掴んでるのに気づいた。
そっと手を開いて髪を外してからゆきに口づけをした。何度も何度も…
部屋を出ると義勇が部屋の前にいた。
「冨岡さん。すごく嫌ですけど僕は警備に行かないとだめなんでゆきの看病お願いします。今回の怪我はゆきの不注意だけど、俺は冨岡さん許さないです」
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部屋に入ると汗びっしょりで苦しそうにしているゆきの姿があった。
「すまない」
義勇はゆきの側に座った。
腕に巻いた包帯からも血が滲んでいた。
「俺の責任だ」
頬にそっと手を添えた。すごく熱かった。
「うーん…」
「どうした痛むのか?」
「いた…いっ」
目から涙もいっぱい溢れていた。
義勇は、一晩中冷たい布で冷やしてやったり汗を拭いてやったりして看病した。
夜中にふとうなされたゆきは少し目が覚めた。虚ろな目で見ると一生懸命誰かが汗を拭いてくれていた。
また痛みで意識が飛んだ。
次目覚めた時は、朝だった。熱は、下がったようだった。
「あっ!ゆき気がついたか?大丈夫か?俺のせいだ…わるかった。」
義勇が今にも泣き出しそうな顔で謝ってきた。
「ち、違うんです。私がぼーっとしてて師範が投げた木刀の行方をきちんと見てなかったから避けれなかったんです」
ゆきが、右腕を押さえながら苦笑いした。
「私が未熟だっただけです。わ、私の事は気にせずに百合さんのとこ行って下さい!昨日台から落ちそうになって怪我したんじゃないんですか?」
義勇は、ゆきを抱き締めた。そして優しく頭を撫でた。
「治るまでゆきの側にいる」
なんだか義勇さんの腕の中は暖かかった。安心する感じ…。優しさで溢れてる感じ。ちょっとだけこの胸に甘えてもいいのかな?
ゆきは、されるがまま抱き締めて頭を撫でてもらった。
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傷の具合を診て貰うために仕方なく義勇は、しのぶを屋敷に呼んだ。
「あらあらあら、冨岡さんがやったんですか?痛かったでしょう。暫く右腕は使えないですね。血が出ている所はすぐに治ると思いますよ」
「師範は悪くないんです。私が未熟でした。」
「庇うんですね」