第14章 義勇の婚約者〜冨岡義勇 時透無一郎
しのぶが真剣な目をして話した。
「あの人には気を付けて、怖い方だと思います。冨岡さんの婚約者です。」
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しのぶが、帰った後から部屋には義勇がずっと居る。
近くに座って義勇は本を読んでいた。
私は、痛みと耐えながら虚ろな感じで、まだ寝たり起きたりを何日も繰り返していた。
時々、義勇なのか無一郎なのかわからなくなる時があった。
無一郎は、夜はやはり警備がありなかなかこちらに来る機会が無かった。
やけに右腕が痛む夜だった。「んっ…痛い…」うなされているゆきを義勇が抱きしめた。
「大丈夫だ」寝返りを打ちながら悶えるゆきは、不謹慎だがとても艶やかで、乱れる浴衣はもう意味をなしていなく胸が露わになっていた。
看病しているのに、義勇は胸がざわついた。その露わな姿で腕が痛いのか抱きついてくる。理性を保つので精一杯だった。
痛みに耐える声が、かつて毎晩聞いたあの喘ぎ声と重なった。
耐えているのに、ゆきは体を絡めてくる。時透と間違えているのか?
時々口づけをせがんでくることもあった。今日も、そうらしい…
俺の首に痛くない左手だけを絡めてくる。だから堪らなく俺は口づけをした。
部屋に甘い口づけをする音が響いている。
ゆきは、気が済んだらそのまま眠りやすい体勢に戻っていく。
それが堪らなくさみしい。そんな日が何日も続いた。
時透は、決まって夕方辺りに任務のため屋敷を出ていき俺と看病を交代していた。
なのに今日は、継子の凛が一人で警備にあたるらしくそのまま看病をつづけていた。
無一郎は、ゆきの隣でうとうとしながら座っていた。
そんな時虚ろな表情のゆきから手が伸びてきたので、無一郎は隣に寝た。「どうしたの?夢見てるのかな?可愛い」
最近は、痛みも取れてゆきは苦しむ様子はなかった。
うっすら目を開けると無一郎が目の前にいた。あぁ…いつも夜中に抱いて眠ってくれてたのは無一郎なんだとゆきはおもった。
無一郎から優しい口づけが降ってきた。一回だけして「傷が痛んだらだめだから寝たほうがいいよ。」とゆきから離れた…。