第81章 見せつけられる愛
無一郎の部屋に響くのは、互いの唇を確かめ合うような、濡れた、甘い唇が触れ合う音だった。
「…ん、…ふ…っ」
これまで心の奥底で我慢していた気持ちが、一気に溢れ出した。
無一郎は無心で、ゆきの柔らかな唇を求めた。
それは、ゆきの中に残る別の誰かの気配を、自分の体温で上書きしてしまいたいと思ったからだ
奪われるがままのゆきは、抵抗するどころか、無一郎の首筋に力なく腕を回す。その従順さが、かえって無一郎の感情を煽った。
「ゆき……本当に、いいの?」
確認するように囁いた声は、少し戸惑っていた。
無一郎の手がゆきの羽織を滑り落とし、隊服のボタンにかかる。
嫌がられる事を恐れて一瞬躊躇した無一郎だったが、驚いたことに、ゆきは自ら脱がせやすいように、微かに身体を浮かせて身を委ねた。
その仕草には、自暴自棄な諦めと、無一郎という安らぎを求めての二つが、混在しているように感じた。
「今日は、本当に……変だよ……」
戸惑いながらも、無一郎は身を委ねてきてくれる事が嬉しかった。
ゆきの白い肌が露わになるたび、無一郎は大切で愛おしい存在だよという意志を込めて、その鎖骨や肩に深く印を刻んでいく。
昨夜、ゆきがどこで誰と何をしていたのか。義勇の影を追いながらも、今ここで自分を求めてくる彼女の矛盾さが少し気になった
「僕だけを見てよ。…もう、どこにも行かせないから」
無一郎はゆきの耳元で、祈るように、優しく呟いた。
無一郎の指先が隊服の合わせを開き、露わになった肌に熱い吐息が吹きかかる。
「…っ、ふ…あ…」
掌に収まる柔らかな膨らみ。その先端を無一郎の舌が、なぞった後甘噛をして口に含む。
甘美な痺れが背筋を駆け抜け、ゆきは必死に声を殺そうと、震える両手で口元を覆った。
だが、無一郎はその白い手首を優しく、退けた。
「我慢しないで。ゆきの可愛い声…全部、僕に頂戴?」
耳元で甘く囁かれ、耐えきれなくなった熱い吐息が、ゆきの唇から漏れ出してしまう。
「あっ…んっ…」
「かわいい声…久しぶりに聞いた…」
ゆきは、無一郎に身を委ね優しい快楽に落ちていく…