第76章 奪い合い〜冨岡義勇 時透無一郎 不死川実弥【R】
門の前で美月は、俯くゆきを冷たく見据え、追い打ちをかけるように言い放った。
「そんな悲しそうな顔をして、また別の男を頼るのでしょう?柱を骨抜きにするのも大概にしてください。任務の邪魔です。あなたは身体しか取り柄がないんですね。剣技もいまいちだし…無一郎様には怪我を負わせる始末…」
義勇はその言葉が過ぎると感じながらも、不死川に向けられたゆきの潤んだ瞳が頭から離れず、突き放すような態度を崩せなかった。
「…反省しているなら、戻るまでその部屋から出るな。不死川にもすぐに帰ってもらえ!」
突き刺さるような冷たい声。
ゆきは小さく震えながら「…はい」と呟くのが精一杯だった。
背を向けて歩き出す義勇の心は、美月への同調ではなく、ゆきを独占できない苛立ちと嫉妬で頭がいっぱいになりゆきの気持ちを考える余裕がなくなっていた…。
どんどんゆきの気持ちは、義勇から離れていこうとしていた…。
ゆきの視界は涙で滲み、美月の「身体しか取り柄がない」という罵倒と、義勇の凍てつくような冷たい視線が忘れられなかった。
部屋で待っていた不死川は、ゆきの姿を見るなり、自分の浅はかさを激しく後悔した。
「済まねェ。俺が、あんな余計なことを頼んだせいだ」
ゆきを抱き寄せようと腕を伸ばす。その温もりに縋りそうになった瞬間、ゆきの脳裏を美月の言葉がよぎった。
柱を骨抜きにするのも大概にしてください…
「ダメです。触れないで…!」
震えるゆきの肩を見た不死川はゆきを力強く引き寄せ、逃げ場を塞ぐように一度目の口付けを落とした。
「…んっ…」
驚きと戸惑いで目を見開くゆき。必死に不死川の胸を押し返そうとするが、柱の強靭な腕力に抗えるはずもなかった。
不死川はゆきの耳元で…
「お前を傷つける奴は、たとえ誰であっても俺が許さねェ。自分を責めるな」
不死川は逃がさないようゆきの腰をより深く抱き込み、二度目の口付けを重ねた。今度は拒絶を許さない、不器用ながらもねっとりと熱を帯びた口付け。
「…ん、ぅ…」
強引に奪われる唇…
息ができない…不死川さんどうしちゃったの…嫌だ…
すごい力…どうしよう…