第1章 恋心~時透無一郎【微R18】
冷めた表情で、無一郎はじっとゆきを見詰めてきた。
どこか見透かされているような目だった。
「あ、あの…どなたでも…いいです。」
「ふぅ~ん。そうなのかな?」
ゆきは、慌ててしまいお椀の汁物を自分の身体にぶちまけてしまった。
「あっ…すみません!」
無一郎は、ますます冷たい目でじっと見てきた。
「隊服が汚れる。脱いで」
「すいません、すぐ着替えてきます」
慌てて立ち上がり部屋を、出ようとしたゆきの腕を無一郎は引っ張りあげた。
「きゃっ」
急な出来事でゆきは、悲鳴をあげてしまった。
なおも、無一郎は無表情で口を開く
「俺の前で脱ぐんだよ」
力が強くて5つも年下なのに柱だけあってびくともしなかった。
ねじり上げられる腕も痛い。
「動かせる片手で脱がないと、もう一方の腕をもっとしめあげるよ」
ゆきは、震えながらボタンを一つ一つ外していった。
しかし手が震えてうまくボタンを、外せない…
また叱られるかも…
みるみるうちに、ゆきの目には涙が溜まっていった。
冷めた視線をゆきに送りながら無一郎はボタンを外す手元を見詰めていた。
中に着ている白いブラウスに手をかけようとしたところで無一郎が手を離した。
「もういいよ。そのままお風呂に入れば…」
ゆきの目から、大粒の涙がポロポロと流れ落ちた。涙を拭きながらゆきは、部屋から出て行った。
無一郎は、天を仰いで溜め息をついた。
「…意地悪したくなるんだよ…なぜか。こんな事してたら嫌われちゃうよね…」