第1章 恋心~時透無一郎【微R18】
任務に出る日の朝は、機嫌の良い無一郎だった。
「師範行ってらっしゃいお気をつけて」
「うん」
お互い昨晩の事は無かったかのような振る舞いだった。
ゆきは、しっかり覚えているが記憶が曖昧な無一郎はもしかして忘れているのかもしれない…。
だからゆきはあえて普通に何も無かったかのように振る舞った。
無一郎「あっ、そうだ鎹鴉からさっき聞いたよ」
ゆき「何をですか?」
無一郎「水柱」
ゆき「え?」
「冨岡さんがお稽古つけてくれるって」
嬉しすぎて泣きそうになった………。
だけど師範は、なぜかいつもみたいに冷たいさめた表情ではなくて、寂しそうな切なそうな見たことのない笑顔を私に向けてきた…
そして任務に向かって行った…。
時透無一郎~side
記憶が曖昧になる僕だけど、ゆきとの出来事はなぜか、曖昧にならない。
時々都合よく、覚えてないフリをして色々すり抜けてきたけどなぜか、ゆきとの出来事は、全部覚えている…。
何もかも、全部…。
君は、冨岡さんに稽古をつけてもらえるから嬉しいだろうな…
もう僕の事なんて頭にないんだろうな…
このまま僕が、帰らなくても悲しくないのかな…。
僕は、ゆきより年齢もかなり下だし…。師範だから慕ってくれているのはわかっている。
継子だからってゆきに都合よくそれ以上を求めていることも自覚してる…。
「はぁ…ムカつく…」