第67章 悲しい出来事〜R強強
昨日の任務の続きのため私達は藤の家を出た
山小屋での出来事は無かったかのような義勇さんは振る舞いだった。
「鬼の目撃情報は、得られなかったからこの任務は取り敢えず終わりだ。まだ昼間だし鬼は出て来ないお前は一人で帰れ。」
雪山の中腹の村でいきなり告げられた。
「え?一人で?」
「俺はこのままお館様の所に報告に向かう。」
「それなら、私も一緒に…」
「その後胡蝶と食事の約束をしている」
「そ、そうですか…」
ゆきは、一人で帰るのが嫌だと言う訳ではなかった。
実はまだ昨日挫いた足が痛かった…
だから一人で、下山するのが不安だった。でも…言えなかった…
ゆきは、仕方なく一人で山を降り始めた。
一人ゆきの歩く後ろ姿を義勇は、じっと見つめていた。
その時義勇は、空に合図を送った
遠くから羽音が近づいてくる…。
「……寛三郎」
義勇が低く呟くと、鴉が彼の肩に舞い降りてきた。
「あいつの後を追え。麓の村に着くまで、上空から見守るようにしろ」
寛三郎はコクンと頷き飛び立つ準備をした。
義勇はゆきが内心、心配で仕方なかった。
「まだ足が痛むのか?妙に足元が危なっかしい。もし、万が一あいつが動けなくなるようなことがあれば…すぐに俺に知らせろ」
一方、ゆきは一歩踏み出すごとに、足首に焼けるような激痛を感じていた。
昨夜、山小屋での出来事や、髪飾りを義勇が池から拾っていて今朝まで大切に持ち歩いていた事…色々考えながら歩いていた。
視界が涙で滲んだ。
「足も痛いし色々あり過ぎてなんだか悲しくなってきちゃったよ…」
背後からバサバサと羽音が聞こえ、寛三郎が空を舞っているのが見えた。
それが義勇の指示だとは気づかず、ゆきは「鴉にまで心配されている」という情けなさでもっと涙が出た。
その時、隠れていた岩陰から、ゆきの「弱った足音」を聞きつけた何かが、じりじりと距離を詰めてくる気配がした。
ーその頃ーー
義勇は、産屋敷邸に向かい歩みを進めていた。
昨夜は山小屋でゆきへの欲が止まらなくなった。近くにいると調子が狂う…
あいつとは、距離を取らないと…
そんな事を考えながらどんどん雪の積もる山道を進んでいた…。
これから怒る悲劇を知らず…