第66章 秘密〜時透無一郎 冨岡義勇【R】
その時ふすまが開く音がした。
義勇は、すぐにゆきから離れた。それと同時に無一郎が廊下に現れた。
「二人で何してるの?」
義勇は、落ち着いた声で答える。
「今日の、任務について指示をしていた。支度が出来たらこのまま鬼の調査に向かう。いいな」
義勇は、去り際にわざとゆきの浴衣の合わせを直して無一郎の顔を見た。
「時透こんな見える所に跡をつけるな。見苦しい」
「別に婚約してるからいいじゃないですか?」
義勇は、フッと笑った。
「子供だな…」
義勇の足音が遠ざかると、廊下に静寂が戻った。
無一郎は、義勇の手によって整えられたばかりのゆきの浴衣の合わせに、ゆっくりと手をかける。
「子供だってさ。あの人、余裕ぶってるけど、本当は焦ってるんだよ」
無一郎の目が、至近距離でゆきを捕らえる。
「ねえ、続きしよっか。任務に行く前に、もっと消えない跡つけてあげようか?」
「そ、そんな時間ないよ…早く支度しないと」
無一郎が、部屋に無理矢理ゆきを引きずり込み布団に押し付けた。
「痛いっ…な、なに?無一郎くん?」
言葉もなく、無理矢理浴衣の合わせを開かれた。
「やだ!やめてっ…そんな気分じゃないの!」
無一郎の腕から力が抜けた…。
「気分じゃない…か」
無一郎は力なく呟き、床に視線を落とした。
義勇に向けられたあの挑発的な態度はどこへやら、今の無一郎はただの、拒絶に戸惑う少年のように見えた。
無一郎にバレないように先ほど布団に押さえ込まれた時に飛んでいった髪飾りを、脱ぎ捨てられた自分の隊服のポケットにそっとしまった。
「無一郎くんは、今日は任務はないの?」
「ない」
「そっか…私は着替えたら行くね…。」
着替えるゆきを眺めながら無一郎が呟いた。
「ねぇ…昨日の夜山小屋で冨岡さんと何してたの?」
「何って…薪が無くなって寒くなって…義勇さんの羽織に一緒に入れてもらったそれだけだよ」
「ドキドキした…?」
泣きそうな顔で無一郎くんは見てくる。
「しないよ…大丈夫。」
本当はすごくドキドキしたの…
「嘘だ」
そう…嘘だよ…
「嘘じゃない。義勇さんは師範だから」
「変な事してない?」
私は義勇さんの指に乱れた…
「してないよ。」
これは秘密