第10章 欲望のままに〜冨岡義勇【R18強】
ひと月ほど経った。この間特に何事もなかった。傷の手当ては相変わらず義勇が全部脱がして、してくれているのを受け入れた。
包帯も取れて、今日から稽古も始めると言われた。前よりももっと厳しくなった。
夕方にはへとへとになっていた。
「一ヶ月動いてなかったからなまっているな。」
「足が中々動きませんでした。」
「また明日頑張ろう。先に風呂で汗を流してこい」
義勇は、屋敷の中に入って行った。
お風呂から上がるともう美味しそうなごはんが用意されていた。
「わぁ!すごいこれ師範が?」
「ん?あぁ」
料理も出来るのか、師範はすごいなぁって感心していた。
「先に食べていい。俺は風呂に入ってくる」
「あっ。はい!」
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お腹もいっぱいだし、久しぶりに稽古も沢山してゆきはうとうとしていた。
遅れて、食事をしている義勇がそれに気づいた。
「眠いなら部屋で休め」
はっと目が覚めた。「でも、師範が食べ終わるの待ちます」
正座してじっと待ち始めた。
義勇は、少し困った、、、。「俺の気が変わらないうちに早く部屋に行ってくれ」
何の気が変わらないうちなんだろう?言われた通りにゆきは部屋に戻った。
あんなに眠かったのに目が冴えて寝れなくなった。ゆきは、屋敷の庭に出た。
月が綺麗な夜だった。
ふと無一郎の声が聞こえたように感じた。
「ゆき ゆき、、、」
「私疲れてるんだ。なぜか無一郎くんの声がする」
屋敷の中に戻ろうとした時、後ろから抱きしめられた。
長い髪が頬に触れる。胸が、キュンとした、、、。
「毎日夜に庭に、出てこないかな?って覗いてた。」
「なんで、ここに。」
「君が好きだから、、、」
涙が何故か溢れた。
「冨岡さんに何もされてない?まだ僕とが最後?僕の事体は覚えてる?」
自然と手が無一郎の背中に回った。会えて正直嬉しかった。
「僕の事抱きしめてくれるの?嬉しい。ぎゅっとして」
無一郎はいつもゆきには素直に気持ちをぶつけてくる。
ゆきの心の何かが変わろうとしていた。
「ここから僕の屋敷までは少し距離があるからそろそろ帰る。」
「鬼が出るかもしれないので気をつけください。」
「大丈夫。僕強いから僕以外みんな弱いし。」
すっと無一郎は居なくなった。