第10章 欲望のままに〜冨岡義勇【R18強】
屋敷までの帰り道は、一言も口をきかなかった。
到着すると同時にまだ傷は完全ではないので、布団に寝かされた。
部屋は、義勇の部屋だった。
「あの、、師範。一人で大丈夫なので自分の部屋で寝ます。」
「いや、これから全ての事は俺が決める。継子らしく師範に従え。」
義勇は、街の見回りの為屋敷を出て行った。
見回りには、無一郎も参加していた。
「冨岡さん明日屋敷に行きます。」
「何しに来る?」
「ゆきに会いに」
「時透は、自身の継子の育成に励め。もううちの継子に構うな」
「僕は、ゆきの事が、、」
「俺はあちらを見回る、お前は向こうだ。では」
義勇はすっと姿を消した。
「クソッ!」無一郎の声だけが虚しく響いた。
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屋敷に戻るとゆきはすやすやと寝息を立てて眠っていた。
少し肌寒さを感じでゆきは目を覚ました。
誰かがお腹の辺りに触れている。寝ぼけながら『蝶屋敷の誰かが傷の消毒をしてくれてるんだ、、、』
と、目を閉じた。
が、よく考えると蝶屋敷にはいない。
目を、開けて見ると義勇が手当てしてくれていた。
「あっ!師範っ自分でやりますっ」
半分起き上がり自分の体をみた。「えっ?」
上半身なにも着ていなかった。慌てて胸を隠した。
「恥ずかしいか?」 「は、はい、、、」「前に見た。」
「隠すな、、、」「で、でも」「見たい」
ゆきは、ゆっくりと手を下げていった。
「時透に見せるのは恥ずかしくないのか?」
「な、なんで急に無一郎君が出てくるんですか」
「無一郎くん、、か、、。」
「ずいぶん親しくなったな。もう師範じゃないからか?」
「師範は、義勇さんなので。無一郎くんに名前で呼ぶように言われました。」
「そうか。時透の言いつけをきちんと守っているんだな。」
「いえ、そういう訳では、、、」
黙ってゆきは俯き布団で体を隠した。
義勇が上着を持ってきて着せてくれた。
「もう少ししたら傷も治る。楽しみだ。」
そう言ってゆきを抱きしめた。
その時は、その【楽しみ】の意味をまだ理解していなかった。