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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第63章 冨岡義勇の葛藤〜冨岡義勇


無一郎が自分の屋敷の門をくぐった時、違和感は確信に変わった。

なんだかおかしい…。冨岡さん?もしかして来てたの?

ふすまを開けると、そこには手合わせで傷ついた身体を横たえ、荒い息をつくゆきの姿があった。

「…冨岡さん。何をしてるの、僕の屋敷で」

無一郎の視線の先、つい数秒前までそこにあった「誰かの体温」が、空気の揺らぎとして残っていた。

義勇は、無一郎が帰宅する直前に、逃げるように去ったのだ。

無一郎はゆきの枕元に歩み寄り、冷ややかな目で見下ろした。

布団の端が乱れ、ゆきの口元は滴り落ちた水で濡れている。
そして、その唇はわずかに赤く腫れていた。

「わざわざ運んできて…看病までしてくれたんだ。冨岡さんが」

無一郎はゆっくりと腰を下ろし、ゆきの頬に触れた。 指先に伝わるのは、ゆき自身の熱と——自分ではない男の、湿った感触。

「むい、ちろう……くん…私…負けちゃった…」

朦朧とした意識の中で、ゆきが無一郎の手を握り返す。

しのぶとの手合わせで完敗し、ゆきは体も心も折れかかっている。

「胡蝶さん手加減なさすぎだよ…酷い。ゆきさっき冨岡さんに何をされたか覚えてる?」

無一郎の指が、彼女の唇を撫でた。

義勇が水を流し込み、執着を刻みつけたその場所を、力任せに 拭い去る…

「冨岡さん、自分の立場を分かってないみたいだ。諦めるために君を傷つけて突き放したくせに、僕の屋敷に上がり込んで、勝手に君に触れて」

無一郎の瞳から、光が消える。

義勇がゆきに抱いている「愛情」も、ゆきが義勇に対して抱いている「恋心」も、無一郎はすべて気づいている。

「ねえ、ゆき。冨岡さんが飲ませてくれた水、美味しかった? 口移しだよね?」

無一郎はゆきの細い首筋に手をかけ、引き寄せた。

「む、無一郎くん…義勇さんが何で出てくるの?」

「えっ?」

「私はずっと無一郎くんと居たのに…飲ませてくれたのも無一郎くんだよ…」

​無一郎はゆっくりと顔を近づけ、ゆきの額に自分の額を押し当てた。
​「そうだね。ごめん、僕がどうかしてた。ずっと側にいたのに、忘れるわけないよね」
​無一郎はゆきの話に合わして自分が側にいたことにした
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