第58章 悲しい年の瀬〜時透無一郎 冨岡義勇
もう本当にまずいよ…どうしよう?もうお稽古始まってるよ…
無一郎くんまだまだ起きる素振りないよ…
それに、私の体にすごく足を絡めてるからまったく動けないよ…
もうそろそろ起こしてもいいよね?
「む、無一郎くん…無一郎くん…起きて」
「う〜ん」
起きた!と思うとすぐに寝てしまう…。柱は大変な任務の次の日は休息日だから気を抜いているんだろうなとゆきは、思った。
「無一郎くん起きてよ…離して。お稽古行けないよ」
無一郎が、やっと目を開いた。
「ん…?」
「離してお稽古行くから」
「…ん〜嫌だ。一緒に今日は寝るの」
無一郎は、ゆきを抱きしめてくちづけをした。
「んっ…」
その時ふすまの向こうから鴉の鳴き声がした。
「無一郎、水柱様ノカラスガゆきハ体調悪イノカ聞キニ来タワヨ」
銀子とどうやら義勇の鴉も隣にいるようだった。
「今から行き…っ」
ゆきが、答えていると無一郎に口を塞がれた。
「今日は熱があって体調悪いから休ませるって冨岡さんに伝えといて」
義勇の鴉は行ってしまった。
無一郎は、やっと口を塞いでいた手を離してくれた。
「何であんな嘘つくの?」
「今日一日一緒に居たかったから」
無一郎が、甘えるような目で見てきた。
「昨日の任務ひどく疲れたんだ。本当は、任務先の藤の宿に泊まる予定だったんだけど君と寝る方が休まるから走って帰って来たんだ。」
そんな目で見られると何も言えない…柱の任務は隊士達と違って何倍も大変で重要でしんどいってわかっているし。
だけど…そんな柱を支えるのが私達隊士の仕事…
私ももっと強くなって支えないといけない…
無一郎は、ゆきの胸元に顔を埋めて抱きついた。
「安心するんだ…君の香り…任務中よく思い出す。安心したい時に」
「無一郎くん…」
‐‐‐
義勇の屋敷に寛三郎が戻って来た。
「義勇、ゆきは発熱デ休厶トノ事」
それを聞いてとても心配になった。やはり昨夜寒かったからだ…熱を出しているとは…可哀想に…
義勇は、気が気ではなかった。
自身の部屋に戻り、箪笥の引き出しを開いた…。
義勇は、ゆきの世話をお願いしていた女性の隠にある物をゆきの元に届けて欲しいとお願いした。