第7章 疑心暗鬼~時透無一郎
月が綺麗に輝いていた。
そんな二人を少しはなれた場所から義勇は見ていた。
蝶屋敷で今夜過ごす事になっている。部屋は、継子は師範と共にに、なっていた。
ゆきの足が義勇の待つ部屋に向かうのを躊躇しているのを無一郎は感じた。
「僕の部屋に来る?」
「え?」
びっくりしてゆきは少し赤くなってしまった。
「大丈夫。襲いたくても凛が居るから襲えない。凛と同じ部屋で寝るのが、キツかったから好都合だし。」
「いいんですか?師範、、、ありがとうございます。」
「無一郎でいいよ。君の師範じゃないし」
「、、、無一郎くん、、でもいいですか?」
「まぁ、いいけど。冨岡さんに言ってくる。ゆきはこっちで寝るって。」
「凛と先に寝てて」
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義勇は部屋の前でゆきが来るのを待っていた。
「冨岡さん」
「時透、、、」
「ゆきは、僕の部屋で休むそうです。また明日。」
「まて、それはダメだ」
無一郎は、深く溜め息をついた。
「もう寝てるから起こさないでください。じゃ」
そんなやり取りをしのぶは見ていた。
「冨岡さん。私が一緒に寝ましょうか?」
義勇は、無言で見向きもせず部屋へ入って行った。
無一郎が部屋に戻ると、二人とも寝息を立てて眠っていた。
蝶屋敷の部屋は療養用のベッドが五つ並んでいる。二人は端と端に寝ていた。
一番奥にゆきがいた。
見ると泣き腫らした目で眠っていた。
ゆきは、夢を見ていた。とてもとても怖い夢を、そう両親が親に喰われた時の夢だった。
ハッと目が覚めた。まだ真っ暗で夜だった。
頬にふわっと長い髪が触れているのに気づいた。
「、、、えっ?」
無一郎が同じベッドで眠っていたのだった。
『し、しはん。何してるんですか?////』
『無一郎、師範じゃない』
『と、とにかく自分のベッドで寝てください』
『嫌だ』
『凛が起きちゃいます。』
無一郎が服の間から手を入れてきた。蝶屋敷から借りた療養着なのでスカートになっているので簡単に触れられる。
『やっ、無一郎くん、、ダメ』
名前を呼ばれた事に無一郎は胸がキュンときた。
ゆきといるといつも胸が苦しくなる。僕どうしたんだろう、、、。