第50章 嫉妬の果て〜冨岡義勇 時透無一郎【R強】
無一郎は、銀子の声に構わずゆきにくちづけをした。
「無一郎伝言ヨ!水柱カラヨ!」
面倒くさそうに、ゆきを膝の上で抱いたままふすまを開けた。
「見ての通り取込み中なんだけど…」
銀子は、羽で目を隠しながら言った。
「ゆきハ、スグに帰っテクルヨウニダッテ!」
〜
義勇の屋敷では、ゆずが仲間の隊士と噂話をしていた。
「ゆず今日の任務柱と二人きりどうだった?」
「うん。鬼は結局遭遇しなかったんだけど…緊張した」
「継子のあの子じゃなくて、ゆずを指名してくるってとこが、ゆず気に入られてるよね?」
「そんなでもw」
ゆずは、仲間の隊士を手招きで呼んで耳元で話した。
「あの継子ほんとうに霞柱と出来てるみたいよ。今日霞柱の屋敷に泊まるって話を聞いたのよ」
「えー!?ホントに?」
「霞柱の鴉が言いに来て…でも柱が、急に怒り出して…帰って来いって」
「当然よ!継子の分際で外泊なんて!」
「それから…」
ゆずの会話が、急に止まった…。
「何よ急に黙っちゃって?」
「君達とってもムカつくんだけど?」
隊士が、後ろを振り向くと無一郎とゆきが立っていた。
「か、か霞柱!?」
「君達もしかしてゆきに意地悪してるんじゃない?」
ゆずが、慌てて弁解した。
「とんでもないです。いつも稽古で参考にさせてもらってます!」
「ふーん…柱の部屋に案内してくれない?」
無一郎の発言にゆきが驚いた。
「無一郎くん!?いいよ義勇さんのとこに行かなくても!」
「いや…柱同士の会話するだけだから」
無一郎は、ゆずの後を付いて行った。
義勇の部屋の前に着き、ゆずが声をかけた。
「あの…柱…霞柱様がお見えです。」
中から返事がなかった。
「あれ?どこに行ったのかしら?」
一方ゆきは、部屋に戻って来た。
ふすまを開いた先に、義勇が立っていた。
「し、師範!?びっくりしました…」
ゆきは、いきなり両手首を掴まれた。そのまま壁際に押し付けられた。
「これから外泊は許さない」
冷たい声で言われた…。目が真剣でとても怖かった。
「は、はい」
距離が近いし、手首をおさえる力も強くて痛かった。
怖い…思わずゆきは、謝った。
「ごめんなさい…」