第43章 新たな波乱〜冨岡義勇 時透無一郎
湿布薬を貼ろうとするが、なかなか上手く貼れない…。
「あっごめんなさい…うまくいかなくて」
何度もするが綺麗に貼れない。
「適当でいい…」
義勇の言葉など耳に入らずに何度もゆきは貼り直した…。
「うっ…うっ」
義勇の腕に、ぽたぽた涙が落ちてきた…。
「ゆき?」
ゆきの顎を持って顔を、自分の方に向けた。
目を潤ませて、泣いていた。
うまく貼れないから泣いているのか?どうしたんだ…?義勇は、困惑した。
「大丈夫だ。ありがとう。これでいい」
抱きしめたかったが、俺の事をすごく怖がっていると思うので我慢をした。
もしかして、時透が恋しいのか…
義勇は、隊服のボタンも留めずに部屋を出ようとした。
「義勇さん」
ゆきが、はだけた隊服を掴んでいた。突然の事で驚いた。
「どうした?」
ずっと目を合わしてくれなかったのに、涙をいっぱい溜めて俺を見つめてくる。
俺の隊服を握る手が震えている…義勇は、堪らずゆきを、抱きしめた。
黙って何も聞かずに、泣き止むまで義勇はただ抱きしめていた。
どれくらい経っただろうか…ゆきが静かになった。
ふと腕の中を、見ると泣きつかれて眠っていた。
久しぶりに、ゆきの甘い香りを近くで感じた。
また、甘えちゃった…私は本当に駄目だ…。あれだけ義勇さんの事避けてたのに、結局腕の中で安心してる…。
私は、駄目だ…だから…優柔不断だから無一郎くんに、嫌われたんだ…。
もう何でもいいや…眠い…心地いい…
目が覚めるとゆきは、布団で眠っていた。義勇さんが寝かしてくれたんだとすぐにわかった。
着替えようと起き上がった時に、部屋の隅で、壁にもたれ掛かって眠っている義勇が居た。
すぐに、目が開きこちらを見てきた。
「よく寝ていたな」
「もしかして、あれからずっと居てくれたんですか?」
「一緒にそっちで寝たかったが嫌だろ?」
ゆきは、胸が張り裂けそうだった…こんな自分勝手な私に、付き合ってくれた義勇に申し訳なさすぎて…。
義勇は、そのまま黙って部屋を出て行った。
私は最低だ…たから嫌われたんだ…
無一郎くんに…