第43章 新たな波乱〜冨岡義勇 時透無一郎
無一郎は、昨日無事にゆきが帰れたか気になって仕方なかった。
道場で、一人ひたすら打ち込み稽古をしていた。この晴れないむしゃくしゃした気分を晴らすように。
なんで僕はあんな事を…ゆきを裏切るような事をしてしまったんだ…。
〜〜
義勇は、ずっとゆきの事が気になっていた。ご飯もあまり食べなくなった…
それに昨日のあの様子…
今稽古をつけてるが、まるで気持ちが此処にはない
続けても怪我をするだけだ。
義勇は、考えた。
「ゆき炭治郎が蝶屋敷で、他の隊士達と鍛錬しているんだが見学に行くぞ」
「炭治郎くんが居るんですか?」
「ああ」
以前炭治郎とゆきは、嫉妬するくらい仲が良い所を見ていたので気分転換になると思った。
〜〜
無一郎達も、凛の両親のお見舞いで、蝶屋敷を訪れていた。
蝶屋敷では、炭治郎がちょうど善逸と休憩中だった。
「あれ!?ゆき」
炭治郎が、目をキラキラさせてゆきを抱きしめた。ゆきは、何も意識することなく炭治郎に腕を回し抱きしめ合った。
「炭治郎くん〜会いたかった〜」
ゆきを抱きしめた時炭治郎は、すぐに察した。
時透くんと何かあったな…匂いでわかる…悲しい匂い
義勇は、ゆきが楽しそうに炭治郎と話す姿を見て少し安心していた。
しかし…
「あれ?時透くん!?」
ゆきが、炭治郎の声に反応した。見ると無一郎と凛がこちらを見ていた。
凛が、無一郎の腕を引っ張ってこちらに来た。
「時透くん久しぶり」
「炭治郎元気そうだね」
無一郎は、ゆきに目も合わせない。それに、義勇も炭治郎もすぐ気付いた。
ゆきは、この場に居るのが耐えられなくてなってきていた。
下を向き泣きそうになるのを我慢していた。
「どうした?体調悪そうだな?」
義勇は、そう言いながらゆきを、抱きかかえた。
みんなの視線が一瞬で二人に集中する。
「胡蝶に診てもらおう」
冨岡さんがゆきを抱きかかえた時にゆきの目から涙が落ちるのが見えた。僕は二人の後ろ姿をずっと見ていた。
凛は、二人を切なそうに見る無一郎に気づいていた。
蝶屋敷では、ある薬が消えていてしのぶはそれを探していた…。