第5章 情が消える時〜時透無一郎、冨岡義勇
無一郎と違って大きくて力強い腕にぐっと抱きしめられた。
ゆきは、自分の心臓が、ドキドキ煩く感じた…
ゆきの体は義勇の腕の中にすっぽりと収まっている。
「まだ寝ていろ。」
耳元で聞く義勇の優しく低い声があの夜を甦らせた、身体が熱くなる。
自然と二人が、見つめ合うかたちになった時
碧い瞳を潤ませ義勇の顔が近づいてきた…。
拒むなんて出来ない…
そして…ゆっくりと唇が重なる…義勇さんの吐息と自分の吐息が、混ざり合う…
何度も何度も
舌を絡めてくる深い口づけ…
どうしたらいいかわからなくなったゆきに義勇は気づいた。
「そのままでいい。俺に委ねろ」
がむしゃらではなく、大人な口づけ。顔に触れている手でさえ優しく大人の包容力がある。
どれくらい口づけをしていたのだろうか、身体がどうにかなりそうなくらい、義勇を求めている自分がいるのにゆきは、気づいた…
「義勇さん…私もう…どうしたら…」
ゆきが義勇の隊服に手を伸ばそうとした…しかしその手をぎゅっと握られた。
「今夜はここまでだ」
「え?」
「怪我人に無茶はできない…」
そう言って小屋の外に出ていった。
外で義勇は、頭に手を当てて困った表情をした…。
[危なかった…あのままでは、止まらずに抱いてしまうところだった。頭を冷やそう。]
義勇は頭を冷やすためにゆきのいる小屋から少し離れる事にした。
ゆきは足の怪我もあってか、まだ身体が熱く火照っていた。意識も少しハッキリしない。夢の中にいる感じだった。
意識が朦朧とするなか…どれくらい時間が過ぎたのだろうか…誰かの足音が近づいてくるのに、気付いた。
義勇さんが戻って来たんだ。
ゆきは、そう思った。